ボクは何のために勉強するのか

先日参加したイベントの講演の中に「人はなぜ勉強をするのか」という話がありました。もちろん「これだ!」と言う正解がある問いではなく、講演された方もいろいろな事例を挙げながらご自分の「勉強」への思いを語られていらっしゃいました。

なぜ勉強するのか。ひとりにひとつずつの答え・・・とずっと心に残っていたところ。先日の話。

年長のタロウ君(仮名)と振り替えの授業のためペーパーをしていた時のことです。難しい問題を解いている時タロウ君の集中力が切れました。いや、もう5歳児の集中力なんてパチパチ切れますから。そこを繋いでいくの私の仕事です。けれども、私は敢えて、集中力が切れて眠そうな目をしているタロウ君に聞いてみました。「タロウ君。タロウ君はなぜ勉強をしているの?」タロウ君は驚いた顔をしました。もしかしたら叱られていると思ったのかもしれません。私は穏やかな声で続けました。「おうちで遊んだり、サッカーをしたりするのも楽しいよね。電車に乗ってこどもの森まで来て、先生と3時間も勉強をするの大変だと思うよ。なぜ勉強するの?」

お母さんが勉強してねと言うから。かな?お母さんが教室に行こうというから。かな?お勉強が好きだから。かな?困った時の5歳児の常套句・わかりませーん。かな?○○小学校に合格するため。かな?受験生だものね。まさか先日の講演で聞いた「お前は籠に乗る人間になるのか。担ぐ人間になるのか。乗る人間になりたければ勉強しろ」的な回答じゃないよね。

と、私が脳内妄想をしているとタロウ君は恥ずかしそうに答えました。

「パパみたいになるためだよ」

「タロウ君パパみたいになりたいの?」

「うん。パパみたいな○○(パパの職業)になって困っている人を助けるの。」

さっきまで眠そうな顔をしていたのに、タロウ君の顔は生き生きと輝いています。

タロウ君の勉強へのモチベーションは大好きなパパみたいになりたい、という夢への思いだったわけです。

取って付けたような動機付けや理屈、「やらされてる」閉塞感とは無縁な5歳児の心の中。タロウ君のパパへの愛と純粋な尊敬に触れて、涙が出そうになりました。が、クールに勉強再開です。

「タロウ君が勉強をする理由が分かったから、もっともっと頑張ろうね!」

「でもね、先生。パパには内緒にしてね。」

「承知しました!」

言わないけど書いちゃった。ごめんねタロウ君。

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